その相続、チョット待った!遺言書に記載のない代襲相続:孫認めず 先に子死亡で遺言無効 最高裁

今日は その相続、チョット待った!遺言書に記載のない代襲相続:孫認めず 先に子死亡で遺言無効 最高裁初判断は民法と違うので注意! についてお伝えします。

 

実務と法律には乖離している部分がある というのが 定説となっていますが

「包括遺贈の場合と異なり、遺言による相続分の指定により 全財産を相続するとされていた相続人が 被相続人よりも先に死亡した場合に、当該相続人の相続人が全財産を代襲相続するかについて、高裁レベルの判例では意見が分かれていた」のだそうです。

それで今回、最高裁が初判断を下したと言うことで 大きなニュースになっています。

ダウン以下が その最高裁判決のニュースの抜粋です。

毎日新聞:代襲相続:孫認めず 先に子死亡で遺言無効 最高裁初判断
読売新聞:相続人が先に死亡なら、遺言は無効…最高裁判決
日本経済新聞:親より先に長男死亡 遺言相続、孫には無効 最高裁 

民法上では、

『相続人が相続の開始前に死亡するなどした時は、その相続人の子が代わりに相続すること』

としています。

これが所謂 代襲相続」ですビックリマーク

887条 被相続人の子は、相続人となる。
2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
3 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。

クローバーここで 今回のケースの検証

 母の遺言書がある場合、例えば 複数の相続人(長男・長女)のうちの一人(遺言の名宛人=長男)に全ての財産を与えるような内容だったとします。

遺言の名宛人が遺言者より先に死亡した場合、遺言書の内容通りに遺言の名宛人の子(長男の子=孫)に全てを代襲相続させるのか、

それとも、法定相続分のみの代襲相続となるのか判例・学説が分かれていました。ショック!

一般的に、遺言者は孫のことも考慮に入れて 遺言していることが多いです。

ですから、今回のようなケースの場合、民法上は 遺言者より遺言の名宛人が先に死亡していますので、遺言の内容に従って代襲相続されるのが法的解釈だと思います。ニコニコ

しかし、遺言は あくまでも意思表示の一つですので、書かれていないことまで類推して認めてしまっては 法律の運用としては面白くないのも事実。ガーン

 

当会でも 遺言・相続に関するサポート業務も多く、公正証書遺言の作成のお手伝いを受任することもございます。

実務では、受遺者が遺言者よりも先に亡くなった場合にはその部分の遺言が執行する前提で予備的遺言をしておく(日本公証人連合会において そう解説されてますし、公証人さんにもそう指導されています。)というのが常識となっています。

ダウン以下 『日本公証人連合会』HPより抜粋です。

「相続人や受遺者が,遺言者の死亡以前に死亡した場合(以前とは,遺言者より先に死亡した場合だけでなく,遺言者と同時に死亡した場合も含みます。),遺言の当該部分は失効してしまいます。」


まぁ結果的というか、やっと実務の通りの判例が出たと言うことで、ほっとした というのが正直な処です。

遺言書作成の際には、遺言者より名宛人が先に死亡した場合の 相続方法の指定も含め 「転ばぬ先の杖」で無効になっても良い 予備的遺言を作成すると理想的ですヨ。

 

遺産相続手続・遺言作成の ご相談、お待ちしております。