★新築より難しい 中古マンション再生投資★ つづき2

NOI(=Net Operating Income:金利支払前&減価償却前営業利益)率を80%とすると「1万円×12カ月×0.8=9.6万円」が 一室当たりの年間修得賃料になります。
この「リノベーションNOI=9.6万円」という数値をベースにリノベコストを算出していきます。
ここで、所謂「返済倍数」という投資指標を使います。
「返済倍数(DCR)」とは、「NOI(営業純利益)」を「ADS(年間借入金返済額)」で割ったものです。
[NOI(営業純利益)]÷[ADR(年回借入金返済額]=[DCS(返済倍数)]という公式なんですが、これは、借入金返済額の「何倍の実質収入があるのか?」という指標。
藤澤雅義 先生によると 安全域は金利4.5%まで上がったと仮定して、最長のローンを組んでDCRが1.25以上を目指そう~ との事。
1.25に満たない場合は自己資金の額を増やす等 投資のリスクを減らすことがこれからの金利上昇局面には大切。
しかし、私は地方の場合 この返済倍数が最低1.50以上は欲しいと思っています。
「返済倍数が1.50」という事は、仮にNOIが建物全体で年間90万円で、リノべの年間ローン返済額が60万円なら「90万円÷60万円=1.50」となります。90万円の家賃が3分の1以上下がってしまって、60万以下になればローンが返せなくなるということです!
不動産投資において、一番ありえない事は借金が返せなくなる事。このリスクの度合いを計る指標が まさに「返済倍率」なんです。

★新築より難しい 中古マンション再生投資★ つづき

一般的に 不動産業者は収支バランスであるとか、投資分析という事になると、急に提案力が弱くなってしまう事が多いようです。
結果、①世の中の築20年以上の物件はますます稼働率が悪化する、

或いは②ただ家賃を下げ続けるのみ、という事になっています。

実は、「リノベーション提案の投資理論」は新築提案と比べて何倍も難しいんです。新築提案は、「1億円のコストで12戸の賃貸マンションを作りましょう。営業純利益が●●万円で年間借入金返済が△△万円なので、キャッシュフローが■■万円ですネ」という『単年度収支』で説明出来る事が多いのですが、リノベ提案は それくらいではオーナー様は納得できませんよネ。

何故、難しくなるのか?というと『営業純利益』にあたるものが、中古物件のリノベではそのまま使えないから…。
「現時点で得られる家賃」と「リノべ後の家賃」、この「賃料差額」が『リノべ企画における営業純利益』です。
例えば、今5万円で募集しているファミリー物件があるとします。お風呂が『バランス釜』であったり、洗面台にお湯が来ていない、間取りも古臭い、となれば、決まる根拠がありません!すぐ決めてもらおう思えば4.5万円がやっと?、という賃料相場であれば、その物件の真の実力は「家賃4.5万円」です。
そして、「この物件の欠点を全部クリアするリノべ工事」を施せば必ず5.5万円では決まるとします。すると、リノべ後の増加分は、「5.5万円-4.5万円=1万円」になります。

この様な考え方で、リニューアルによる「営業純利益」を考えて、投資しても良いコストを計算していくべきでしょう。

★新築より難しい 中古マンション再生投資★

築年数が経過し陳腐化した物件は、ある程度のコストをかけて根本的に『間取り』『設備・仕様』『外観・外構』を バランス良くリノベーションする必要があります。
時代と共に、入居者様のニーズは変化していますし、20年以上前の賃貸企画では、入居者様が 真に望んでいる部屋を しっかりと創っていないと言えます。
松山市でも 近年の市況悪化も相まって、益々入居が決まらなくなっています。しかし、1部屋当たり100万~数百万円のコストをかける決断が、オーナー様におかれましてはなかなか出来ないのが 現実でしょう。

①本当にこれだけのコストをかけて良いのか?
②そもそも このコストは「理屈に合っている」のか?
この答えを理論的に 納得できる形で説明できる 不動産業者・管理会社がいない事が オーナー様の不幸の源泉です。