物件の「見せ方」「貸し方」

オーナー様が持っている「賃貸物件の秤(はかり)」が均衡を取り戻せば、それだけで部屋が決まることもあるでしょう。

ターゲットがしっかり定まり(需要がある)、ライバルとなる物件が少ない(供給が不足している)、という状況なら「それだけでも」決まる可能性が高いです。
因みに秤(はかり)の図はこちらです。

秤(はかり)の均衡がとれているのが「当たり前」のことであり、スタートラインに立った = 0にリセットできた に過ぎないのです。

でも現実は、そんなに簡単ではありません。少し設備を追加したり、お部屋のクロスを張り替えたからといって、「たちどころに」決まるわけではありません。
同じレベルのライバルは、他にも多くありますから…。秤(はかり)の均衡がとれているのが「当たり前」のことであり、スタートラインに立った = 0にリセットできた に過ぎないのです。

だから多くの場合は、秤(はかり)のバランスが戻っても、それだけで部屋が決まるとは限らない。
よって つぎは「見せ方」と「貸し方」でライバルに差を付けなければなりません。
同じ商品でも「見せ方」で全然違います。あるいは「売り方」で売れ行きが桁違いに変わることがあります。
まず、「見せ方」の代表選手はインターネットです。インターネットでの「見せ方」にも工夫は色々あると思いますが 今回提案するのはシンプルに一つだけ・・・・
それは、

物件の個性を表現するために「20枚以上の写真」を掲載しましょう。
・・・・ということです。

簡単に「20枚」と書きましたが、それこそ簡単に見過ごさないでください。とても重要なポイントです。現在インターネットでは、数10万円の中古自動車でも、写真は10枚~20枚は掲載しています。 ※「カーセンサー」等で確かめてください。

たとえ数千円の電気製品であっても、4~5枚の写真で紹介しています。あなた様が紹介するのは、月に数万円も払い続ける高額商品です。その情報を売るのに、間取図とたった数枚の写真で足りるはずがないと思いませんか?

いますぐに「スーモ」で、あなた様のエリアの賃貸物件を検索してみてください。家賃が低額の物件から高額の物件まで確かめてください。15枚以上の写真が掲載されている物件がどれだけありますか?

もし「ほとんど」だったら急がなければマズイです。同じ枚数を掲載して、やっとエリアの中でスタートラインに立てます。

でも「数えるほど」しかなかったらチャンスでしょう。こんな簡単に差が付く方法は、そんなに多くはありませんから…。

でも、「20枚もの写真って、いったい何を撮ったらいいの?」と言うかもしれません。外観や部屋や設備を撮っても「たかが知れている」ワケですね。意味のない写真を載せてもしょうがないし・・・・と思うかもしれませんね。

しかし考えてください。その街を知らないお客様がインターネットを通じてPCの前で見ているのです。その街に行ったこともないかもしれない。そんなお客様なら、物件の写真だけでなく、周りの環境も見たいと思いますよね。だから、ターゲットに見てもらいたい個所は、エントランスや室内はもちろんですが、近くにある公園やコンビニやスーパーなどの周辺の施設、周りの景色や駅前の写真まで、すべて掲載し尽くしましょう。そうしたら、20枚でも足らないかもしれませんよ。

写真の枚数は本当に重要です。同じエリアのライバルに差を付けてください。

つぎの
「見せ方の工夫」は案内図面・チラシです。

この案内図面にも同じだけの写真や間取図を掲載しましょう。となると、必然的にB4用紙1枚の紙面では入りきりませんよね。2~3枚組の案内図になってしまうはずです。
一枚目が物件概要と外観と間取り図、
二枚目が物件の写真集、
三枚目は近隣の施設や公園や駅前の写真集・・・・とか。

そして、この案内図面・チラシを「客付け業者さん」に データと紙で配ります。近隣の主な客付け業者には図面を配布しているはずですが、その図面は白黒ではなくカラーで配りましょう。せっかく間取りや写真を苦労して「見やすく」作ったのに、白黒では台無しですよね。

・・・・ということは、送る方法は、FAXではなく、手渡しか郵送・メールということになりますね。

あなた様も、FAXで送ってきた案内図面では「本気」にならないのではないでしょうか?

白黒だし、画像もさらに汚いし・・・・・特に、客付け力のある業者には「手渡し」で配布すべきです。そして、真剣にお客様に紹介してもらうようお願いしましょう。

客付け業者には本気で案内してもらうことが重要です。同じ案内でも「当て物件」扱いをされてはたまりませんね。それはなくても、「その他の物件の中の一つ」としてでなく、常に「本命」として扱ってもらう必要があります。

そのためには、オーナーからのバックフィーを渡すことはもちろん、担当者へ報償を出すことも検討してもいいのではないでしょうか。

ここで、空室対策をもうひとつの「観点」から見てみることにします。

それは、
お客様に部屋を見ていただくため、つまり、「案内の回数を増やすため」の手段と、「案内後の申し込み率を上げるため」の手段を、別に考えることです。

今まで述べてきた、インターネットネットや、案内図面や、客付け業者への協力依頼や、担当者報酬は、すべて「案内を増やすため」の工夫でしたね。

それ以外にお客様に選んでいただいて、案内を増やす手段として、どんなものがあるでしょうか?私の周りの現場では、次のような方法が採用されています。

・初期費用がゼロ円で入居できる部屋
ホテルのように入居時にはお金を請求せず、月末から翌月分の家賃等を請求するシステムです。実際には、日割り家賃や、保険料、連帯保証料などが必要なはずです。それらは「誰がいつ」負担するのか、というと、足りない分は、フリーレント扱いでオーナーが負担する仕組みになっているのです。ただ「フリーレント」と表現するより、「ゼロ円で入居」の方がインパクトがあります。だから、この方法が採用されているのです。

・月額100円で入居できる部屋
最初の月、あるいは翌月も、「家賃は100円です」といって貸します。もちろん、そのあとは通常の家賃です。これもフリーレントの表現を変えたバージョンです。ただ「フリーレント」と表現するよりインパクトがあります。半年間は○円引き、とかいうバージョンもあります。

・クロスが選べる
部屋の一面や全面のクロスを、お客様が自由に選んで入居できるサービスです。自分が選んだクロスなら長く住もうと思うので、テナント・リテンションとしても効果が期待できますね。もっと徹底して「カスタマイズできる部屋」も登場しています。つまり「改造オッケイ」の部屋です。

・家具付きの部屋
その家具はターゲットにもよりますが、モデルルーム用に設置したモノを「そのまま使えますよ」というアピールも有効だと思います。「どんな家具だろう?」と誰でも思いますよね。

空室期間が長い物件は、どこかに原因があります。
その原因を改善するのが空室対策ですが、そのためにはまず「案内されているか」どうかをチェックすべきです。
案内が少なければ決まるはずがありませんし、案内が発生しないのは、何か原因があるのです。その原因を改善して、まず案内を増やすことを考えるのです。

インターネットや業者さんの店頭で、お客様に「見てみよう」と思っていただける工夫を最大限にしましょう。そして、ライバル物件に負けないようにアピールさせましょう。

もうひとつの観点は、
案内後の申し込み率を高めるための手段を考えることです。

そのためには、部屋を「一目見て気に入って」いただく必要があるワケです。まず基本ですが、部屋が汚れていたり「臭い」がするのは話になりません。そこで、空いている部屋の日常管理が重要になります。空室は、いつ案内があっても最適な状態に保っておくべきですね。定期的(7日~10日ごと)に空室を巡回して、空気の入れ替えと簡単な掃除をしましょう。
埃(ほこり)や臭いを防ぎ、「なんとなく薄汚れている感」を取り除きましょう。

3点セットとして、
・玄関マット、スリッパ、消臭剤
・照明器具
・カーテン
は必須アイテムです。

さらに家具をセットしてモデルルームのように演出します。これらは空室対策として、もはや当たり前になっていますね。

お客様のために、現場に色々なグッズを置いている業者さんも増えています。

・間取図と巻き尺
お客様にサイズを測って記入していただきます。
その行為は、お客様に本気で住む気を起こさせるでしょう。

・周辺マップ
物件を中心において、生活に必要な施設をマップ上に落としたものです。
このマップは、どこの業者さんでもお客様に一番好評だそうです。

・オーナーからの挨拶
さりげなくオーナーの「ウエルカム」の気持ちを伝えます。

これも「基本中の基本」ですが、外観・エントランスと通路の日頃の整備は重要ですね。部屋が整っていても「そこが」乱れていたらダメでしょう。お客様は外観を見て、通路を歩いて部屋に向かう途中にも目を配っています。部屋に行く着くまでの過程が乱れていたら 部屋を見る前に「ここはやめよう」と決めています。いくら室内を準備しても台無しになります。

【まとめ】
空室対策は、ひとつの設備を追加するとか、入居条件を変えるとか、そのような単発の処方箋だけでは難しくなってきています。物件全体での総合力が求められるのです。


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